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令和3年度介護保険制度改正の介護報酬見直しについて解説!

介護保険制度のイメージ

こんにちは、特別養護老人ホームの介護福祉士【@しまぞー】です。

本記事は、2021年(令和3年)4月より改正される介護保険制度を記事にしました。

とは言っても、すべてを網羅するわけにもいかず(情報が多すぎ)今回は特に介護職員に関係のある介護報酬に関わる改正を中心に書きました。

最初に介護保険制度を少し説明しますと、1997年に制定された介護保険法に基づいて、2000年に施行されました。近年は、3年に1度見直しされています。

介護保険制度の施行以前と以後との大きな違いは、応能負担(介護保険制度施行以前)から応益負担(介護保険制度施行以後)に変わったことです。

用語解説

応能負担とは

収入に応じて支払う金額が変わるシステム。収入が少ない世帯は支払う額が少なく、収入が多い世帯は多くの金額を支払います。

応益負担とは

収入の差に変わりなく、皆が同じ金額を支払うというシステムです。サービスを利用する人が利用額の 1割(もしくは2割 2015年8月から)を負担するというシステムに変わりました。

介護報酬に関わる『介護の人件費』に関して説明

売上にかかる経費(コスト)は『固定費』と『変動費』に分けることが出来ます。

固定費は売上の増減に関わらず一定額かかる経費の事で、変動費は売上の増減に比例する経費のことです。

大まかには、人件費は固定費に分類されます。(変動費は給食材料費、介護用品費など)

その人件費ですが、介護の売上である介護報酬の7割を占めていると言われています。飲食業などは3割程度ですので、介護は「労働生産性」が悪いと言えるでしょう。

売り上げの7割まで占める固定費に分類される人件費は、節減しようにも難しいのです。

もちろん生産性の低い介護の経営において、固定費である人件費を上げる賃上げも、難しいと言えますね。

目次

介護職員が知っておくべき令和3年度介護保険制度改正について

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これまでの介護報酬改定の主な内容の推移

過去の介護保険制度では、どのような見直しがあったかというと・・・
今回の介護報酬改定の資料の引用:厚生労働省令和3年度介護報酬改定の主な事項

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令和3年度介護報酬改定の主な事項について55 ぺージ

▼2021年(平成24年)
2011年までの介護職員処遇改善交付金から「処遇改善加算」が運用開始

▼2015年(平成27年)
特別養護老人ホームの入所基準が、在宅での生活が困難な要介護3以上の高齢者に限定。
一定以上の所得のある利用者の自己負担が、1割から2割(のちに3割負担も追加)

これまでの介護報酬の改定率の推移

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出典:第27回社会保障審議会年金数理部会資料(平成18年11月2日開催)

介護報酬改定率の推移

  • 平成15年度:マイナス2.3%
  • 平成17年度:マイナス1.9%
  • 平成18年度:マイナス0.5%
  • 平成21年度: プラス3.0%
  • 平成24年度: プラス1.2%
  • 平成26年度: プラス0.63%(消費増税に伴い)
  • 平成27年度:マイナス2.27%
  • 平成30年度:プラス0.54%

今回の令和3年度の介護報酬改定率は、プラス0.7%

引用:厚生労働省資料引用:2ページ

令和3年度介護報酬:介護人材の確保・介護現場の革新

①:ICT(情報通信技術)の推進

介護における「ICT」の導入は、記録関係をデータベースに残す。見守り機器、インカム等の導入推進により、職員の記録の負担を軽減する。

②:特養(従来型)の夜間の人員配置基準を緩和する。

③:認知症GHの夜勤職員体制(現行1ユニット1人以上)について、利用者の安全確保や職員の負担にも留意しつつ、人材の有効活用を図る観点から、3ユニットの場合に一定の要件の下、例外的に夜勤2人以上の配置を選択することを可能とする。

①から③厚生労働省資料引用:33ページ・37ページ

④:育児介護休暇を取得する場合、人員配置基準の緩和が出来る

今回の介護報酬改定の厚労省のサイトを見て気になったのが、人員配置基準の緩和です。

厚生労働省資料引用:36ページ

▼「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、介護の短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。

▼「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上
の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。

『育児・介護休業法』による育児の短時間勤務制度を利用する場合、今までは常勤換算を週40時間としていたのを改定では「週30時間以上」でも良い

⑤:特定処遇改善加算の分配ルールの柔軟化

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2019年10月より開始された特定処遇改善加算ですが、今回分配方法が少し変更になり、平均賃上げ額を

10年以上の介護福祉士(A)2以上 : 他の介護職員(B)1の割合、
2対1を

10年以上の介護福祉士(A)2以上  他の介護職員(B)1の割合、

2>1、つまり(A)は(B)より多ければいいと、分配額を柔軟に決めることが出来るようになりました。

その他主な改定内容

  • 感染症や災害対応力の強化(2ページ)
  • 認知症対応力の向上に向けた取り組み(6ぺージ)、無資格者への認知症介護基礎研修受講義務付け(7ページ)
  • 看取りへの対応の充実(8ページ)
  • 医療と介護の連携の強化(10ページ)
  • 在宅サービスの機能と連携の強化(13ページ)
  • 科学的介護の取り組み:CHASE・VISITの情報収集・活用とPDCAサイクルの推進(29ページ)

厚生労働省資料引用

科学的介護情報システム(LIFE)について

用語解説

科学的介護とは

データーを集めて質の高い介護を目指すことで新設の加算「科学的介護推進体制加算」が取得出来る。

CHASEとは

栄養に関すること、口腔状態の利用者の情報

VISITとは

リハビリに関する情報

※ 令和3年度から、CHASE・VISITを一体的に運用するにあたって、科学的介護の理解と浸透を図る観点から、以下の統一した名称を用いる予定。
科学的介護情報システム (Long-term care Information system For Evidence;LIFE ライフ

厚生労働省資料引用:29ページ

最後にしまぞーの見解

今回の介護報酬改定では「業務の簡略化」と、「人員の緩和」をうたっているが、この2つはつながりがあり、文字通りに上手くいくか?という疑問がありますね。

実際にICT(情報通信技術)を取り入れて、逆に業務がきつくなるケースを聞いたことがあります。

つまり、育児休暇取得時に関しても人員配置基準が緩和されるわけで、私は、介護職にとっては厳しくなるケースがあるのではと考えてしまいました。

介護報酬改定率プラス0.7%に関しては、介護職員のベースアップのもととなるため上昇率が少なすぎる結果となっています。

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今日のサービスショット!

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