【2021年5月13日更新】
こんにちは、特別養護老人ホームの介護福祉士【しまぞー】です。
我々介護職員が提供するサービスは、国によって細かく金額が設定されています。
今回は、介護保険制度における介護報酬の具体的な仕組みと介護サービスを使った時の金額がどう決まるのか、またなぜ我々介護士の給料がなかなか上がらないのか?
この問題も、この介護保険制度を知ることによって理解することができます。
✅ 下の記事は介護保険制度の税金、公費など負担割合を中心に記事にしました。
介護保険制度における介護サービスの売上【介護報酬】とは
介護報酬:居宅サービス費(訪問サービス)
訪問サービスの料金は、「サービス内容」「利用時間」「要介護度・要支援」「負担割合」により決まっています。
※注意)本記事では、介護度と負担割合に関しては介護度は3負担割合は1と固定し解説は省略させて頂きます。
- サービス内容は、身体介護(おむつ交換、入浴介助)と、生活支援(買い物、食事作り)の2種類のサービスに分けられる。
- サービス内容に利用時間が加味されサービス料金が決まる。
※訪問サービスとは、ご利用者様のご自宅に訪問し介護サービスを提供します。
介護保険サービスの身体介助
例えば介護サービスに
「身体介護0.5」とあります。この意味を解説すると
「身体介護0.5」とは、身体介護であるオムツ交換や入浴介助を、0.5hつまり【30分】利用したケースです。
この身体介護サービスの金額が要介護3の利用者が利用すると245円(245単位)となります。
※単位は地域により金額が変動します。
✅ ここで問題です
あるご利用者(A)様(要介護3一割負担)が、この訪問サービスを、週4日、1か月間の間に合計16日間利用した場合の月の利用金額は・・・
245円✖16日間=3,920円です。
※正確には、年収による負担割合(2割3割負担等)や地域によって、単位が違います。
要介護3の居宅の区分支給限度額は②26,750円(個人負担分)です。
つまりこの場合(A様)は、②26,750円-①3,920円=22,830円分まだその月に、介護サービスを利用できます。
その他の居宅サービス、デイサービスや福祉用具、ショートステイ等を合わせて利用出来ます。
今回の記事は、介護報酬(売り上げ)ですので、今しばらくお付き合いください。
サービス単価に関してはコード表があります。ご参考にどうぞ!
令和3年介護給付費単位数等サービスコード表(案)
✅ 訪問サービス事業所の売り上げ
(A様)は1割負担です。残りの9割は国、正確には国保連に請求します。
- 1割の個人負担分3,920円
- 9割の公費負担分35,280円
- 合計39,200円
(A様)の個人負担1割分と国保連負担9割分の合計39,200円が、訪問事業所の(A様)からの介護報酬(売り上げ)という事です。
単純に同じ利用者が10名いれば10掛けて、この事業所には
月額392,000円、介護報酬(売り上げ)がたつ事になります。
おむつ交換や移動介助の身体介助を、30分提供した場合の介護報酬(売り上げ)となります。
介護保険サービスの生活支援
介護保険サービスを提供する訪問介護事業所は【生活支援20分以上45分未満】つまり、食事作り掃除では、200円(単位)となります。
個人負担や介護報酬に関しては身体介護同様な計算になります。
介護保険サービスの単価は独自で変えられない
サービス内容、金額は国で細かく決められています。つまり介護サービス単価を、企業努力で上げることが出来ない業界です。
介護報酬の財源は税金、公費であって勝手に商品単価を上げることはできません。
例えば、ご家族の希望でフレンチコースを作ってほしいとの依頼があって、事業主が、利用者に提供するから介護サービス単価を30分1万円にします。
という事を勝手に出来ないのです。
ご家族がその金額で良いと言ったとしても、9割分9万円の公費負担を支払う国保連がOKしません。
介護保険外でやってくださいとなります。
サービス単価についての過去記事です。
介護報酬:施設サービス費(特別養護老人ホーム)
施設サービス費はその業態などによって、1日いくらと決められています。
介護老人福祉施設とは、特別養護老人ホームと同意語です。
詳しく言えば、介護保険制度が制定されて以降に作られた特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設と名乗れます。どちらを名乗っても良いのです。
少し見ずらいですが、上記の表は特別養護老人ホーム(ユニット型)の料金です。
黄色いマーカー部分で解説すると、
要介護3の施設サービス費(1日当たり)は、
807単位/日です。
特別養護 老人ホームで100名まで入居可能な施設だとします 。
要介護3の施設サービス費は、1日807円/日です。
月額入居様負担分が(B様)
807円✖30日=①24,210円
施設サービス費の個人負担分は、要介護度3/人、24,210円が月額一人当たりの利用料金です。
特別養護老人ホームの介護報酬(売り上げ)はというと、B様は1割負担です。残りの9割は居宅サービス同様、【国保連】負担分です。
①24,210円が1割の入居者負担分です。
10割分:242,100円が①様からの売り上げ、つまり【介護報酬】と言い、
242,100円-①24,210円=217,510円が【国保連への請求金額】です。
(B様)から24,210円+国保連から21,780円=
合計242,100円が、 介護報酬(売り上げ)となります。
単純に同じ要介護度3の方が施設に100名いれば、24,210,000円、が施設の売り上げになります(満床と仮定した数字です)
つまり、この施設の月の売上げ【介護報酬】は、2,400万円のという事です。
更に特別養護老人ホームの売り上げは、住居費、食事代、加算の三種類あります。
ここからまだまだお付き合いください。
実際の特別養護老人ホームの売上
【(施設サービス費介護報酬+食費+住居費)の入居者人数】、稼働率、各種加算によって決まります。
これが一般企業の有料老人ホームならば、 介護報酬に関しては変わりませんが 、入居一時金を何千万、 別途サービス費を取ることができるのです。
そのことによって売り上げを上げています。
しかし国によって助成されている安価な施設の特別養護老人ホームがあるために、競争原理がなかなか働かないのが、この介護保険制度の現状です。
✅ 私のおススメ介護業態、特別養護老人ホーム
なぜ介護職員の給料があがらないのか?
✅ 特別養護老人ホームであれば
- 箱物(施設)に入居できる人数は限られている
- 一人ひとりの入居者から得られる売り上げは、上限がありほとんど決まっている
- 特養は、なかなか入居できる施設が多いつまり、稼働率が制限いっぱいの施設が多い
このことにより施設の売り上げの上限はある程度決まっているため、介護職員及び施設関係者の給料は上げることが難しいのです。
✅ 介護職員の給料が低い5つの原因
✅ 介護職員の給料をアップさせる方法
介護保険制度の問題点
介護保険制度の問題点(営利企業の飲食店と比較)
飲食店では、ビール一杯500円から550円に、枝豆400円から350円など、商品単価を自由に決められます。
販売価格は、原価を気にしながら商品を自由に変更できます。
また季節によって 色々なメニューを加えることができるし、さらにはキャンペーンなどで商品を大特価と題して販売できます。
介護保険のサービスは事業所が独自にキャンペーン価格を設定できない
介護保険サービスでは サービス単価 、サービス内容は全て国が決めています。
例えば、 今月は「おむつ交換大特価キャンペーン!」と題した企画も組めません。
またサービス内容の金額を、介護施設、事業所独自で値段をあげることも、下げる事も出来ません。事業所独自で勝手なサービスを提供することもできません 。
例えば、訪問介護の場合ですと・・・
- ご家族のご飯をいっしょに作る事も出来ない。
- ご家族の部屋を掃除をしてならない
- 窓ガラスを掃除出来ない
- 庭の剪定をしてはならない。
つまり独自のサービスを提供して、他の事業所との差別化を計れないのです。
むしろ管轄の都道府県から 監査が入り、指導どころか減算対象になります。
国は、3年おきに介護保険制度の改正をします。その時に介護報酬の見直しを行います
儲かって売り上げが上がっても、国によって、介護サービス単価を下げる等行われてしまいます。
✅ 訪問サービスについての記事
✅ 今年行われた介護保険制度改正について介護報酬を中心に記事にしました。
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今日のサービスショット!
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