こんにちは、特別養護老人ホームの介護福祉士【しまぞー】です。
我々介護職員が提供するサービスは、国によって細かく金額が設定されています。
今回は介護報酬の具体的な仕組みと介護サービスを使った時の金額がどう決まるのかを記事にし、またなぜ我々介護士の給料がなかなか上がらないのか?
この問題も、この介護保険制度の知ることによって理解することができます。
介護サービスの売り上げ【介護報酬】とは
介護報酬とは、事業者が利用者(要介護者又は要支援者)に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に対して支払われる報酬のことを言います。
ある利用者様が、1か月に利用した介護サービス費、自己負担分1割と9割の公費負担分の合計が、介護報酬と言います。
居宅サービス費の介護報酬について(訪問サービス)
訪問サービスの料金は、「サービス内容」と「利用時間」により決まっています。
- サービス内容は身体介護(おむつ交換、入浴介助)と、生活支援(買い物、食事作り)の2種類のサービスに分けられます。
- 利用時間はその長さによって、金額が決まっています。
※訪問サービスとは、ご利用者様のご自宅に訪問し介護サービスを提供します。
例えば介護サービスに【身体介護0.5】(身体介護を30分)とあります。この意味を解説すると
サービス単価についての過去記事です。
身体介護0.5は【身体介護】を【30分】利用したケース
具体的には、この身体介護サービスの金額が245円(245単位)となります。
身体介護とは、おむつ交換、トイレ介助、歩行介助など利用者の身体を介助することです。
※単位は地域により金額が変動し決まっています。
あるご利用者(A)様がこの訪問サービスを、
週4日間利用しますと、1か月の合計16日間、利用した場合の月の利用金額は単価をかけて・・・
245円✖16日間=3920円です。
※正確には要介護度、年収(2割負担)や地域によって、単位が違ってくる場合があります。
要介護3の居宅の区分支給限度額は26,750円です。
つまりこの場合、(A様)は、26,750円-①3,920円=22,830円まだその月に、介護サービスが利用できます。①は1割の個人負担分
その他の居宅サービス、デイサービスや福祉用具、ショートステイ等を利用出来ます。
今回は介護報酬(売り上げ)ですので、今しばらくお付き合いください。
訪問サービス事業所の売り上げはというと、(A様)は1割負担です。残りの9割は国、正確には国保連と言う所に請求します。
逆算すると、39,200円(要介護3の区分支給限度額)-①3,920円=25,280円(国保連への請求金額)です。
月当たり3,920円(A様)の(個人負担1割分)+25,280円(国保連負担9割分)
=合計39,200円が,、介護報酬(売り上げ)という事です。
逆に考えると介護報酬は39,200円で
内訳は:個人負担1割分3920円+国保連負担9割分35,280円という事になります
単純に同じ方が10名いれば、10掛けて、この事業所には
月額392,000円、介護報酬(売り上げ)が立つ事になります。
おむつ交換や移動介助の身体介助を、30分提供した場合の介護報酬(売り上げ)となります。
介護保険サービスの生活支援
介護保険サービスを提供する訪問介護事業所は【生活支援1】(つまり、食事作りを1時間)で、フレンチコースを作って提供するから介護サービス単価を30分1万円にします。という事を勝手に出来ないのです。
ご家族がその金額で良いと言ったとしても、9割分9万円の公費負担を支払う国保連がOKしないのです。
報酬の財源は税金、公費であって勝手に商品単価を上げることはできないのです。
サービス内容、金額は国で細かく決められています。
つまり介護サービス単価を、企業努力で上げることが出来ない業界です。
【合わせて読みたい】 ↓
施設サービス費の介護報酬について(特別養護老人ホーム)
施設サービス費はその業態などによって、1日いくらと決められています。
介護老人福祉施設とは、特別養護老人ホームと同意語です。
詳しく言えば、介護保険制度が制定されて以降に作られた特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設と名乗れます。どちらを名乗っても良いのです。
少し見ずらいですが、上記の表は特別養護老人ホーム(ユニット型)の料金です。
黄色いマーカー部分で解説すると、
要介護3の施設サービス費(1日当たり)は、
807単位/日です。
特別養護 老人ホームで100名まで入居可能な施設だとします 。
要介護3の施設サービス費は、1日807円/日です。
月額入居様負担分が(B様)
807円✖30日=①24,210円
施設サービス費の個人負担分は、要介護度3/人、24,210円が月額一人当たりの利用料金です。
特別養護老人ホームの介護報酬(売り上げ)はというと、B様は1割負担です。残りの9割は居宅サービス同様、【国保連】負担分です。
①24,210円が1割の入居者負担分です。
10割:242,100円が①様からの売り上げ、つまり【介護報酬】と言い、
242,100円-①24,210円=217,810円が【国保連への請求金額】です。
(B様)から24,210円+国保連から21,7810円=
合計242,100円が、 介護報酬(売り上げ)となります。
単純に同じ要介護度3の方が施設に100名いれば、24,210,000円、が施設の売り上げになります(満床と仮定した数字です)
つまりこの施設の月の売り上げ【介護報酬】は、2,400万円のという事です。
更に特別養護老人ホームの売り上げは、住居費、食事代、加算の三種類あります。
ここからまだまだお付き合いください。
実際の特別養護老人ホームの売り上げ
【(施設サービス費介護報酬+食費+住居費)の入居者人数】、稼働率、各種加算によって決まります。
これが一般企業の有料老人ホームならば、 介護報酬に関しては変わりませんが 、入居一時金を何千万、 別途サービス費を取ることができるのです。そのことによって売り上げを上げています。
しかし国によって助成されている安価な施設の特別養護老人ホームがあるために、競争原理がなかなか働かないのが、この介護保険制度の現状です。
【合わせて読みたい】 ↓
なぜ介護職員の給料があがらないのか?
特別養護老人ホームであれば、
- 箱物(施設)に入居できる人数は限られている
- 一人ひとりの入居者から得られる売り上げは、上限がありほとんど決まっている
このことにより施設の売り上げの上限はある程度決まっているため、介護職員及び施設関係者の給料は上げることが難しいのです。
介護報酬と医療報酬を、介護士と医師の給料の差を考えながら比較した記事です。
↓ ↓
介護保険制度の問題点
介護保険制度の問題点(営利企業の飲食店と比較)
ビール一杯500円から550円に、枝豆400円から350円など、各飲食店が商品単価を自由に決められます。
販売価格は、原価を気にしながら商品を自由に変更できます。
また季節によって 色々なメニューを加えることができます。
さらにはキャンペーンなどで商品を大特価と題して販売できます。飲食店では基本原価に対して販売価格を自由に決めています。
介護保険のサービス費は事業所、施設が独自でキャンペーン価格を設定できない
しかし介護保険サービスでは サービス単価 、サービス内容は全て国が決めています。
例えば、 今月は「おむつ交換大特価キャンペーン!」と題した企画も組めません。
またサービス内容の金額を、介護施設、事業所独自で値段をあげることも、下げる事も出来ません。事業所独自で勝手なサービスを提供することもできません 。
例えば、訪問介護の場合ですと・・・
- ご家族のご飯をいっしょに作る事も出来ない。
- ご家族の部屋を掃除をしてならない
- 窓ガラスを掃除出来ない
- 庭の剪定を
- してはならない。
この様な事は出来ないと国から決められています。
つまり独自のサービスを提供して、他の事業所との差別化を計れないのです。
むしろ管轄の都道府県から 監査が入り、指導どころか減算対象になります。
国は、3年おきに介護保険制度の改正をします。その時に介護報酬の見直しを行います
儲かって売り上げが上がっても、国によって、介護サービス単価を下げる等行われてしまいます。
最後に介護に転職・就職を考えている介護職の方へむけて・・・
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