こんにちは、特別養護老人ホームの介護福祉士【しまぞー】です。
今日は「なぜ介護施設では加湿するのか?」について記事にします。
10月に入ってからこの時期、マスクの着用が義務づけられた施設も多いと思います。
これからの時期はインフルエンザなどが発生しやすい季節ですよね。
そこで施設では、一生懸命工夫を凝らして室内を加湿します。
ではどうして室内を加湿するのでしょうか?
本記事ではこの事に関して、【冷凍機の資格】を持った私が詳しく解説していきます。
例えば春と秋を比べると温度は同じくらいなのに春の方が温かく感じると思います。
それは季節風の関係で春は湿度が高めで、秋は湿度が低めなのです。人間は湿度が高いほど暖かく感じます。ですので春は秋より「湿度が高め」なため温かく感じるのです。
これからお話しする【前提として】冬場は温度が低く乾燥している為湿度が低い、夏場は温度が高く湿度が高いです。
なぜ介護施設では小さい加湿器で室内やフロアを加湿するのか?
【理由①】風邪ウイルスを増殖させないため
これは風邪ウイルス(インフルエンザウイルス等)が湿気を嫌うからです。
ウイルスは湿気があると、そのウイルスに含まれた水分の重みで床下の落ちています。しかし湿度が低いとウイルスから水分が抜け軽くなり空気中に浮遊します。
※厚生労働省結核感染症課作成リーフレットより参照
インフルエンザウイルスの感染経路は飛沫感染もしくは接触感染です。
インフルエンザウイルスは外部から持ち込まれます。感染し増殖を防ぐには、湿度をあげることが重要です。
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【理由②】家庭用のエアコンの構造上の問題
家庭用エアコンでは、室内の温度は上げることができるが湿度は上がらないのです。
何故かと言うとエアコンと言う機械は部屋の空気だけを使っています。温度はあげる事が出来るが、加湿はしていないのです。
※このことに関しては理解しずらいので下の欄で、分かりやすく説明します。
【理由③】加湿することによりしない場合より暖かく感じる
上記にも説明しましたが、人間は湿度が高いほど暖かく感じます。ですので春は秋より「湿度が高め」なため温かく感じるのです。
冬に居室をエアコンで温めますが、加湿することにより、加湿しない場合よりもエアコンが低い設定温度でも温かく感じることができます。
【理由④】エアコンで温度を上げると【相対湿度】が下がる為
【理由②と④】の仕組みを説明します。
少し難しいのですが、温度が高くなると空気は【膨張】します。湿度にとって、これは必要な湿気【水蒸気】の入れ物が大きくなる(空気の膨張)と考えます。
しかし大きくなった入れ物(膨張した空気)に入っている湿気【水蒸気】は少ないので湿度が低くなる。(相対湿度が低くなる)
逆に、湿度が低くなれば空気は【凝縮】し、湿気の入れ物は小さくなり湿気で満杯【飽和状態】になり湿度が高くなる(相対湿度が高くなる)と言う原理です。
用語に対する正しい解説
空気の膨張とは・・・
飽和水蒸気量つまり水蒸気を含むことができる入れ物が大きくなる。
逆に空気の凝縮とは、飽和水蒸気量つまり水蒸気を含むことができる入れ物が小さくなる。
相対湿度とは・・・
空気中に含むことができる最大の水蒸気量に対して、現在の水蒸気量はどれくらいかを表したものを相対湿度と言います。
つまり湿度40%とは、飽和水蒸気量(入れ物)に対する実際の水蒸気量です。
同じ老人が利用する大病院では加湿をどうしているのか?
ちっちゃな加湿器を何百個も使って加湿している?なわけないです。
大病院ではエアハンドリングユニットを言う大きな空調機【エアコン】を使っています。
エアハンドリングユニットの温度を下げる仕組みはさておき、なにが一般家庭の空調機と違うのかというと、湿度の高い外気を取り入れながら加湿しているのです。
更にエアハンドリングユニットでは空調機の中に大きな加湿エレメント【小さな加湿器にも中を分解すれば小さな加湿エレメントがあります】があります。
病院・ホテル・大きなビルで行う加湿の仕組み
写真左:空調機エアハンドリングユニット 写真右:加湿エレメント


写真左が病院やホテルにある空調機でその中に、右側の写真「加湿エレメント」が設置されています。
✔ エアハンドリングユニットの加湿の仕組み
加湿モジュールの上部(赤丸)から水を垂らして(緑枠)、加湿モジュール(全面)に水分を上から下に浸透させます。
これに奥から手前に「外気の気流」を通過させることにより、加湿モジュール表面から水分のみが気化蒸発して、加湿された空気を各部屋に送る仕組みです。
イメージとしては今施設でも加湿器だけでなく、濡れタオルをフロア中に掛けて加湿している施設も多いでしょう。
もちろん一般家庭でもタオル等を濡らして干せば加湿する事になります。
このやり方がエアハンドリングユニットの加湿をかける仕組みです。
※建物内の適正湿度は70%から40%の間で、機械的にその水準になるよう操作しています。
冷凍機の免許を持つ介護福祉士からでした。
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