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なぜ介護施設では【加湿】するのか?ウイルスと湿度の関係,大病院の湿度管理は?解説します。

【2021年5月29日更新】

こんにちは、特別養護老人ホームの介護福祉士【しまぞー】です。

今日は「なぜ介護施設では加湿するのか?」についての解説です。病院などの大きな建物ではどのように加湿しているのか?

ご興味のある方はどうぞ読み進めてください。

冬場の時期はインフルエンザなどが発生しやすい季節ですよね。その対策として施設では、一生懸命工夫を凝らして室内を加湿します。

湿度が低い時期に各居室やフロアには、家電で販売している家庭用加湿器を配置しています。

また、加湿のためタオルなどを濡らして干すようなインフルエンザウイルス対策をしているところもあるでしょう。

◆この記事の主な内容◆
  1. 何故、施設内居室を加湿するのか?5つの理由
  2. 居室がたくさんある大きな病院やホテルではどのように加湿しているのか?

病院などの大規模建物の湿度管理を知りたい方は②をクリックしてください!
直接該当目次に移動します。

本記事ではこの件に関して、【冷凍機の資格】を持った私が詳しく解説していきます。

目次

なぜ介護施設では小さい加湿器で室内やフロアを加湿するのか?

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例えば春と秋を比べると温度は同じくらいなのに春の方が温かく感じると思います。

それは季節風の関係で春は湿度が高めで、秋は湿度が低めなのです。

人間は湿度が高いほど暖かく感じます。ですので春は秋より「湿度が高め」なため、温かく感じるのです。

これからお話しする【前提として】冬場は温度が低く乾燥している為湿度が低い、夏場は温度が高く湿度が高い。

【加湿する理由①】風邪ウイルスを増殖させないため

これは風邪ウイルス(インフルエンザウイルス等)が湿気を嫌うからです。

ウイルスは湿気があると、そのウイルスに含まれた水分の重みで床下の落ちています。

しかし湿度が低いとウイルスから水分が抜け軽くなり空気中に浮遊し感染リスクが高まります。

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※厚生労働省結核感染症課作成リーフレットより参照

【加湿する理由②】家庭用のエアコンの構造上の問題

①をふまえて家庭用エアコンでは、室内の温度は上げることができるが湿度は上がらないのです。

何故かと言うとエアコンと言う機械は部屋の空気だけを使っています。温度はあげる事が出来るが、加湿はしていないのです。

※このことに関しては理解しずらいので下の④の欄で、出来るだけ分かりやすく説明します。

【加湿する理由③】加湿することによりしない場合より暖かく感じる

上記にも説明しましたが、人間は湿度が高いほど暖かく感じます。ですので春は秋より「湿度が高め」なため温かく感じるのです。

冬に居室をエアコンで温めますが、加湿することにより、加湿しない場合よりもエアコンが低い設定温度でも温かく感じることができます。

【加湿する理由④】エアコンで温度を上げると【相対湿度】が下がる

【理由②と④】の仕組みを説明します。

少し難しいのですが、温度が高くなると空気は【膨張】します。湿度にとって、これは必要な湿気【水蒸気】の入れ物が大きくなる(空気の膨張)と考えます。

   シャルルの法則」

しかし大きくなった入れ物(膨張した空気)に入っている湿気【水蒸気】は少ないので湿度が低くなる。(相対湿度が低くなる)

逆に、湿度が低くなれば空気は【凝縮】し、入れ物は小さくなり入れ物に対する湿気の割合が高くなる(相対湿度が高くなる)と言う原理です。

用語に対する解説

空気の膨張とは・・・

飽和水蒸気量つまり水蒸気を含むことができる入れ物が大きくなる。

逆に空気の凝縮とは、飽和水蒸気量つまり水蒸気を含むことができる入れ物が小さくなる。

相対湿度とは・・・

空気中に含むことができる最大の水蒸気量に対して、現在の水蒸気量はどれくらいか表したものを相対湿度と言います。

つまり湿度40%とは、飽和水蒸気量(入れ物)に対する実際の水蒸気量です。

ポイント!

空気が暖められると、空気が膨張し、一定にある湿度の割合が低くなる(低湿度)
空気が冷めると、空気が凝縮し一定の湿度の割合が高くなる(高湿度)

同じ老人が利用する大病院では冬場の加湿をどうしているのか?

ちっちゃな加湿器を何百個も使って加湿している?なわけないです。

大病院では、「セントラル空調方式」と言われ、外気の取入れ、湿度を上げるための「エアハンドリングユニット」という大きな空気調和気を使っています。

◆家庭と大病院との空調システム◆
  • 家庭や施設や小さな建物ではパッケージエアコンを使用。
  • 病院やホテル大きな建物はセントラル空調(大規模な冷凍機やボイラーで熱源を作る)

セントラル空調の温度管理の仕組みはさておき、なにが一般家庭の空調機と違うのかというと、外気を取り入れながら加湿しているのです。

更にエアハンドリングユニットでは空気調和気の中に大きな加湿エレメント【小さな加湿器にも中を分解すれば小さな加湿エレメントがあります】があります。

病院・ホテル・大きなビルで行う加湿の仕組み 

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写真上:ターボ冷凍機 

冷凍機の仕組み

冷凍機は温冷水を作る機械、建物の屋上などに設置されている。 冬場であれば、冷凍機で温水を作り、下の写真のエアハンドリングユニットの中で取りいられる外気に温水を当てることにより、温まった外気が温風として室内に取り入れられる仕組み。
※冬場の温風の作り方は、温水がエアハンの中にあるコイルを通し、外気を当てる当てることにより温風になる。(説明が難しくよくわからないですよね)

 

写真左:空気調和気エアハンドリングユニット  写真右:加湿エレメント

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写真左が病院やホテルにあるエアハンドリングユニットで、専用の空調機室が建物の各階に設置されている。

写真左「エアハンドリングユニット」の中に右側の写真「加湿エレメント」が設置されています。

✅ エアハンドリングユニットの加湿の仕組み(セントラル空調では)

  1. 冬場、上の右写真(赤丸)部分から水が出ます。(緑枠)部分には、横並びに小さな水道口が複数ある。
  2. 赤丸より水が出ると緑枠より水が垂れながされ、加湿モジュール(全面)に水分をたっぷり含むように上から下に浸透していく。
  3. その加湿モジュールに対して、奥から手前方向に「外気の気流」を通過させる。
  4. 加湿モジュール表面から水分のみが気化蒸発して、加湿された空気をダクトを通して建物中各部屋に送る仕組みです。
 

イメージとしては今施設でも加湿器だけでなく、濡れタオルをフロア中に掛けて加湿している施設も多いでしょう。

もちろん、一般家庭でもタオル等を濡らして干せば加湿する事になります。

このシステムが、エアハンドリングユニットで加湿を(作る)仕組みです。

※建物内の適正湿度は70%から40%の間で、機械的に手動でもその水準になるよう操作しています。

冷凍機の免許を持つ介護福祉士からでした。

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