こんにちは、特別養護老人ホームの介護福祉士【しまぞー】です。
特定処遇改善加算とは、2017年に閣議決定された10年勤続介護福祉士に8万円支給する制度のことです。
この特定処遇改善加算の支給に関しては、これまでいろいろな方法が検討されてきました。
しかし、この10年勤続介護福祉士に、8万円支給する制度は非常に難しい状況になりそうです。
本記事では特定処遇改善加算について、この加算により介護職員や他の職員がどのくらい給料が上がるのかパターンをふたつご用意し考察してみました。
私のブログでは7月の初めから特定処遇改善加算を詳しく記事にしていました。
特定処遇改善加算関連記事を2本紹介します。
(読まずに飛ばして頂いても大丈夫です)
【関連記事:処遇改善加算の新加算制度発表】↓
【関連記事:特定処遇改善加算の趣味レーション①】
【2020年12月7日追記】
※その前に厚生労働省より、特定処遇改善加算を平成31年2月の加算前と令和2年の実施後の比較によると、介護職員の月額給料が18120円改善したとの結果が出ました。
詳しくはサイトURLを張りますので確認して下さい。
引用元:「厚生労働省」令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf
今回は特別養護老人ホームにフォーカスし、介護職員が10月以降いくら支給されるのか?計算(シュミレーション)してみました。
特定処遇改善加算で介護士の給料はどの位上がるのかシュミレーションした結果
特定処遇改善加算の支給対象の職員を分けてみると
三段階に分けることになりました。
- 10年勤続介護士もしくは技能、知識が優れているリーダークラス
- 施設介護職員
- 施設のその他の職員
特定処遇改善加算の請求要件3つ
まず特定処遇改善加算の約束事(請求要件)です。
以下の3つの数字によって国への申請金額が決まります。
✔介護報酬
✔新加算の(Ⅰ)もしくは(Ⅱ)
✔介護業態の加算率
の3つの要件により決めていきます。では1つづつ解説します。
1:介護報酬(シュミレーションなので仮定の数字を当てはめます)
入居者が100名で介護度が全員3だとします。
要介護3の月の施設サービス費は23280円です。
(計算を簡単にするために23000円とします。)
23000円(個人負担1割)国保連の請求金額が9割、合計(10割)は23万円です。
23万円が100名=2300万円が施設サービス費つまり介護報酬です。
2:特定処遇改善加算の新加算(Ⅰ)(Ⅱ)取得要件
下の青色の加算(ⅠからⅢ)は今までの処遇改善加算です。
残念ながら新加算(特定処遇改善加算)を算定するには、現状の処遇改善加算を算定していなければ取得できません。
(特別養護老人ホームに関しては、処遇改善加算を取得していない施設はないと思います)。
※ 現⾏の処遇改善加算と別の加算です。つまりルール通りとなると、現行の処遇改善加算プラス8万円支給となります。年にすると96万円プラスです。
3:介護業態の加算率
今までの処遇改善加算同様、介護業態により加算率が違うのが特徴です。
一番高いのが、訪問介護の新加算Ⅰで介護報酬の6.3%です。
今回は特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は新加算(Ⅰ)で
水色枠の2.7%です。
特定処遇改善加算をシュミレーションしてみました
月当たりの介護報酬が2千300万円(一人当たりの入居者の売り上げを月額23万円とした場合)を見てみます。
23万円が入居者100名の施設ですと、23万円✖100名=2300万円
✔介護報酬が2300万円
新加算(Ⅰ)の加算率は【黄色枠】介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は特定加算が(Ⅰ)緑枠と黄色枠が交わった水色枠の【加算率】は2.7%です。
2300万円✖2.7%=
✔62万円です(これが特定処遇改善加算の原資です)
※読まれている方あと少しです頑張ってください。
人員配置基準は入居者3名に対して介護職員1名です。
33人の介護職員ならば、62万円÷33人は1万9千円になります。
単純に公平に介護職員に分配すると一人当たりは1万9千円になるということです。
※33名は特別養護老人ホームの配置基準を参考にしています。
つまり100名の入居者に対して3分の1以上の33名での計算です。
実際にこの算定により、介護職員はどの程度特定処遇改善加算を支給されるのでしょう。
特定処遇改善加算の分配方法パターン①
33名(100入居者に対する介護職員の配置基準)の2分の1=16名が介護福祉士です。
(施設の場合は介護福祉士の人員率が半数以上で加算が取れるので仮定としました)
パターン①:10年勤続介護福祉士8万円支給を4人に支給した場合
【ポイント】
10年勤続がほかの事業所・施設のトータルでもいいようになりました。
ここで再度配分ルールを示した表を掲載します
【A】8万円支給者もしくは、年収440万円のリーダークラス
【B】その他の介護職員
【C】介護職員以外の職員
4名が上の表の(A)に値します。
そうなると(B)、(C)は33名-4名で29名です。
4名✖8万円=32万円です。(10年勤続もしくは知識や技能が優れている年収440万円以上の 者。)
8万円支給対象者4名に支給すると32万円です。
64万円から32万円引くと32万円です。
つまり、介護福祉士4名に8万円使ってしまうと、32万円しか残りません。
32万円を【B】29名で分け合うことになります。
30万円を29名で分け合うと約11,000円です。
結果、他の介護職員には一人当たり11,000しか配分できません。
更に【C】の介護職員以外の職種にも2分の1以下ルールにより配分できます。
【C】に配分する場合は上記の(B)に配分する11,000円を少なくし配分することになります。
【C】が施設により何人在籍しているかにもよります。
さらに、介護職員以外の配布などできるのでしょうか?
上の表から今一度、特定処遇改善加算の分配ルールを確認してみましょう。
上の表より私の仮定での支給を再度確認すると・・・
Aが10年勤続8万円支給、もしくはリーダークラスの技能・知識がある
Bそれ以外の介護職員(Aの2分の1以上を超えない)
Cが介護職員以外(Bの2分の1以上を超えない)です。
厚生労働省サイトより引用
パターンⅠにより
Aが4名、Bが29名です。
つまりこの仮定での計算ではAに4名選んで8万円支給してしまうと、残りの原資は64万円ー32万円(8万円✖4名)=32万円をB職員で分け合う。
さらには介護職員以外のCの職員にも配らなければならないのです。
特定処遇改善加算の分配方法パターン②
パターン②:10年勤続介護福祉士8万円支給を1人だけ支給した場合
1名✖8万円=8万円です。
(10年勤続もしくは知識や技能が優れている年収440万円以上の者)。
①の原資62万円から一人の介護福祉士を選んで8万円支給すると、残金は54万円です。
33名-1名=32名です。
54万円を32名で分けうと、17,000円になります。
【C】の介護職員以外の職種にも2分の1以下ルールにより配分できます。【C】に配分する場合は上記の17,000円を少なくし配分することになります。【C】が施設により何人在籍しているかにもよります。
いずれにしても、厚生労働省が決めたルールに従うなら、公平な分配をすることが非常に難しい状況だと思います。
シュミレーションをまとめると
ここで皆さんお気づきだと思いますが、介護職員が33名在籍する大きな施設の特定処遇改善加算の具体例です。
しかしシュミレーションでは、
パターン①の場合は8万円支給者を4名作る。
パターン②の場合は8万円支給者を1名作る。
たとえ8万円支給者を施設の33名中4名作ったとしても、他に回すお金が少ないと思います。
4名だとすると、リーダークラスというよりは、主任クラスの人材が当てはまると思います。
100名の入居施設だとするとユニットは10個はありますよね。そのリーダー10名に、8万円を支給してしまうと80万円です。
その場合は私のシュミレーションの特定処遇改善加算財源62万円では足りないです。
その他の介護職員やその他職員に分配する財源などないです。
もちろんわたしのシュミレーションでは要介護3で計算しましたので、要介護4であればもう少し金額は違ってきます。
要介護4の施設サービス費は25300円です。
25200円の10割=25万円✖100名=2500万円✖2.7%
平均要介護4の施設ならば、特定処遇改善加算の金額は67万円です。
要介護4の場合は67万円です。
要介護3の場合は62万円でしたね。
つまり要介護3を要介護4にしたところで5万円しか変わらないのです。
結論としては10年勤続8万円もしくはリーダークラスの年収440万円は、非常にハードルが高く全員にいきわたるのは難しい困難な仕組みになっているのがお解りになると思います。
特別養護老人ホームで介護職員が33名在籍していた場合
パターン①:8万円支給対象者4名にするとその他の介護職員は1万1千円になる
パターン②:8万円支給対象者1名にするとその他の介護職員は1万7千円になる
たとえば、10年勤続介護福祉士はこれからどんどん増えていきます。
特定処遇改善加算の対象者が年を追うごとに増えていくのです。
しかし、原資は決まっているので増やすことができません。
今回の特定処遇改善加算は明らかに欠陥の制度です。これから見直しが必要でしょう。
今日は以上です。
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